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2017.01.25 くらしのRE

乾物の“RE”/「DRY and PEACE」〜前編〜

皆さんは「3R活動」という言葉をご存じでしょうか。「Reuse=ゴミとして捨てずに再利用する」「Recycle=ゴミを分別して資源として循環させる」「Reduce=ゴミそのものを減らす」という
“3つのR”からアプローチする環境活動のことです。今回の『くらしの“RE”』は、この「3R活動」の中から、「‘Re’duce(リデュース)」に注目し、乾物の手軽で美味しい楽しみ方を提案し、乾物を世の中に広める活動をしている「DRY and PEACE」をご紹介します。

乾物との出会いはペルーの乾燥ジャガイモ

例えば、スーパーの特売日などで大量に野菜を買って、結局、食べきれずムダにしてしまった……なんてこと、ありますよね。そんなもったいない状況を解決する方法の1つとして最近、話題になっているのが「乾物」。テレビや雑誌で目にして気になっている人も多いのでは。そこで今回はそんな乾物に注目し、「乾物で世界をもっとPEACEに!」というメッセージを掲げて活動する「DRY and PEACE」のサカイ優佳子さんと田平恵美さんにお話をうかがいました。

私たちは2002年くらいから食に関わる活動をしてきました。私たちが大切にしているのは「食卓から社会を見る」という視点。政治も、経済も、産業も……「食」ってすべてにつながっているんですよね。だから、未来に向かって美味しく、楽しく食べ続けていけるものを考えようという意識から食育のワークショップなどを手がけていました。

田平恵美(以下、田平)

「DRY and PEACE」が生まれたきっかけは、「パパセカ」と呼ばれるペルーのジャガイモの乾物との出会いでした。日本では馴染みのない“ジャガイモの乾物”という存在と、“乾物だからこそ地球の裏側の日本にも届きやすい”という事実に興味が湧きました。ここから乾物のおもしろさに気づいて、本格的に乾物の研究をはじめたんです。そんな矢先にあの東日本大震災が起こりました。私たちが暮らしている横浜では、計画停電が実施されましたが、冷蔵庫が使えない状況でも乾物の棚はいつも通りの品揃えをキープできていたんです。この時、改めて乾物の重要性や可能性に気づき、本気で乾物を暮らしの中に広める活動をはじめようと「DRY and PEACE」を立ち上げました。

乾物のイメージを覆した「ヨーグルト戻し」

水で戻すのが普通だった乾物をヨーグルトで戻すことで、より美味しく楽しめる……そんな方法がテレビや雑誌などで話題になったのを知っているという方は多いはず。実はこれを広めたのも「DRY and PEACE」のおふたりなんです。その新たな乾物の活用法の誕生秘話をうかがいました。

ワカメと棒寒天のサラダ(ガラムマサラ風味) 

干しニンジンとレーズンのサラダ

サカイ優佳子(以下、サカイ)

乾物に対して「地味、醤油味の煮物ばかり、面倒くさそう…」というイメージを持っている方が多いんです。この先入観を取り払いたくて、私たちが提案したのが乾物をヨーグルトに漬けて戻す方法でした。漬けておく時間は約8時間。乾物のほとんどが戻した後、冷蔵庫で約1週間程保存(※)できます。8時間というのは、「夜漬けたら朝、朝漬けたら夜できている」という、現代のライフスタイルに合わせた設定なんです。このわかりやすさのおかげもあって、世の中に広く伝えることができました。
(※ヨーグルトの消費期限によって異なります)

田平

切り干し大根や高野豆腐、煮干しなど、一見、意外性のあるようなものも、ヨーグルトで戻せます。皆さん驚きますが、煮干しは、ヨーグルトで戻すことで、臭みや苦みが和らぐだけでなく、身がしっとりして美味しくなるんですよ。

サカイ

元々のヒントは、和食の職人さんが「干し椎茸をヨーグルトで戻すとふっくらして美味しくなる」と書いていた記事でした。でも、その記事ではヨーグルトを洗い流していて、ちょっともったいなかったんですよね。それに和食として調理するには少し乳臭さが気になったんです。そこで「ヨーグルトを洗い流さず、風味を生かした料理にすればいいのでは?」と考えて、思いつく乾物を端からヨーグルトに入れてみた、というのがはじまりです。また、栄養の専門家によれば、乾物とヨーグルトの乳酸菌が合わさることによって腸内環境が整うそうなので、健康面から見てもヨーグルト戻しにはメリットがあるのです。

田平

野菜なら3〜5倍、海藻なら8〜10倍程度のヨーグルトを使うのが目安。ヨーグルトで戻すと素材の食感が保たれるので、例えば、ワカメならシャキシャキした歯ごたえが楽しめます。「洋食の朝食」というイメージが強いヨーグルトと地味で醤油味の煮物ばかりというイメージがつきまとう乾物を組み合わせることで、今までの先入観を覆し、乾物をもっと活用してくれる方を増やせたらいいなと思っています。

“使いながら備える”乾物の使い回し方

ヨーグルトで戻すという方法を通じて、乾物をより身近なものにした「DRY and PEACE」のおふたり。その先にある、乾物の可能性や、上手に使い回すコツなどについても教えていただきました。

(上から)れんこん・ビーツ・生姜

サカイ

「Reduce」というキーワードでいうと、乾物のメリットって、食品ロスを減らすことはもちろんですが、省エネ的なReduceというのもあると思うんですよね。乾燥して軽量になる分、輸送のために使うエネルギーや排出されるCO2を減らせるじゃないですか。

田平

それに最近、防災の分野で「ローリングストック法」という考え方が話題になっているんです。従来は、防災バッグの中に乾パンなどの食品を詰め込んで災害時に備えていましたよね。そうではなくて、「普段使いながら、使った分は買い足して備蓄していこう」というもの。この「ローリングストック法」には乾物がぴったり合うんですよ。災害時はもちろん、忙しくてお買い物に行けないときでも、家の中で乾物を10種類くらい保存して上手に使い回せばメニューの幅も広がりますし、ゆとりのある生活にもつながっていくんじゃないかなと思います。

いかがでしたか?今までの乾物に対して抱いていたイメージがガラッと変わりますよね。そんな乾物の‘RE’をかたちにしている「DRY and PEACE」。後編では、「日々の生活での乾物の取り入れ方」についてご紹介したいと思います。

●PROFILE:DRY and PEACE

長年にわたり食や料理にまつわる研究を重ねてきたサカイ優佳子さん(左)と田平恵美さん(右)が2013年に「乾物で世界をもっとPEACEに!」というメッセージを掲げて発足。2015年には乾物をヨーグルトでもどす方法を発表して話題に。テレビ、雑誌、ワークショップなどで精力的に活動している。

公式サイト:https://www.dryandpeace.com/

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