Logo

TITLE.

日本の古家具の“RE” ~前編~

  • CATEGORY.
  • DATE.
    2018.03.05
  • KEYWORDS.
    インテリア , 手仕事

今回ご紹介するのは“陶芸の町” “手仕事の町”としても知られる栃木県の益子町を中心に、『仁平古家具店』や『pejite(ペジテ)』など人気ショップを手がけ、日本の古家具の魅力を発信している仁平 透さん。そのお仕事は「“Re”pair=修理」でもあり、「“Re”use=再利用」でもありながら、その枠に留まらない自由なもの。日本の古家具を自らの目で「“Re”discovery=再発見」し、「“Re”valuation=再評価」して新たな楽しさを提案していく仁平 透さんの“RE”な活動をご紹介します。

益子の町に佇む2つのショップ

「日本の古家具を集めたショップ」と聞いたら、皆さんはどんなお店を想像しますか。「骨董」「時代家具」「民芸品」などなど、ちょっと渋くて敷居の高い雰囲気をイメージする人も多いのでは。でも、仁平さんが手がける2つのお店、『仁平古家具店』と『pejite』を見たら、そんなイメージはガラッと変わってしまうかも知れません。アンティークやヴィンテージと言った既存のジャンルのどれとも異なる独自の品揃えを目当てに、遠方から訪れるファンも多く、スタイリングや店舗デザインを手がけるようなプロにも愛用されている仁平さんのお店。その魅力に迫ります。

仁平 透
なぜか子どものころからノスタルジーを感じるような古いものが大好きで、音楽も好きだったこともあって、お店をはじめる前は東京の中古レコード店で働いていました。でも、諸事情から生まれ育った益子の町に戻ることになって。そのとき「この場所でも自分が好きなことをやっていきたい」って考えたんです。そこで2009年に益子町に隣接した真岡市で、2010年に益子町でオープンしたのが『仁平古家具店』でした。とは言え、栃木県は全国的にも人口が少ない地域。古家具を売るという特殊な商売を続けていくためには、近場のお客様だけでなく、遠方のお客様からも「行ってみたい」と思っていただけるようなお店にしなければならないと考えていました。そこでこだわったのが価格です。日本の古家具って、今、同じものを新品でつくろうとしたらすごくお金がかかってしまう良質な素材を使っているものがたくさんあるんです。そんな家具をしっかり直して、リーズナブルな価格で「こういうものがある暮らしって楽しいですよ」という提案ができる。そんなお店をつくろうと思ったんです。それが『仁平古家具店』のスタートでした。

仁平古家具店(益子店)/店内には、数千円から買えるようなリーズナブルでかわいい家具が所狭しと並べられています。

米蔵との出会い、手仕事のお店『pejite』の誕生

日本の古家具をリーズナブルな価格で扱う『仁平古家具店』をはじめた仁平さん。その後、『仁平古家具店』とは趣が異なる高価格帯の古家具と作家ものの器やアパレル等を扱う『pejite』を開店させたのは、どのような理由からだったのでしょうか。

pejite/益子町の路地裏にある大きな米蔵をリノベーションしてつくられたお店。栃木県産の大谷石を使用したどっしりとした店構えは、さながら美術館のよう。

仁平 透
『pejite』をはじめたのは今から約3年前ですね。『仁平古家具店』の仕事を続けていくうちに、僕もものを見る目が肥えてきて、「ちょっと値段が張るような品物も扱ってみたいなあ」と思いはじめた矢先に、益子の町の裏路地に貸しに出されていた大きな米蔵と出会いました。天井も高くて雰囲気もあるので、「ここだったら自分がやりたいラインナップにぴったりだな」と考えたんです。ただ、今まで通り古道具・古家具のお店としてはじめると、どうしてもその専門の枠を超えられない気がしていました。もっと間口を広げていろいろな方に来てほしい。『pejite』が、益子を訪れる人の目的地になれば……。そんな想いもあって、あえて古家具に限定せず、「日本の手仕事」をテーマに地元の作家が手がけた器や服、靴などもいっしょに扱うお店をはじめました。それにこの大空間で、これだけの品をお見せできるショップは東京では難しい。たとえ田舎であっても、この町でしかできない、東京からでもわざわざ行ってみたくなるようなお店がつくりたかったんです。

pejiteの店内/古い米蔵の壁をそのまま活かした大空間には、仁平さんがセレクトした家具や、さまざまな品物が並ぶ。

仁平 透
2つのお店は、扱う品や見せ方こそ違いますが、コンセプトは共通しています。日本の古家具は素材もつくりも良くて、しっかり直して使えば100年使えるような品物がたくさんあります。「骨董」や「アンティーク」というと高級で敷居の高いイメージを持たれがちですが、数万円、数千円でもいいものを手に入れて楽しむことができるんです。そのことをより多くの人に伝えたい。そんな気持ちが原点にあります。

古家具からストーリーを読み解く

2つのお店で、一貫して「古いものでも直して使えば楽しめる」という提案を続ける仁平さん。そのお仕事の中で特にこだわっていること、そして、お仕事の魅力についてうかがいました。

仁平 透
『仁平古家具店』の家具は昭和のものが中心ですが、『pejite』で扱う家具には、大正、明治のもの、中には100年以上前につくられた江戸時代のものもあります。でも、基本的に一定の年代やデザイン、ジャンルに対するこだわりはないんです。当時の日本には、家具のメーカーもブランドもありません。全て職人によるオーダーメイドの品だけ。一点一点と向き合うと、職人のセンスや想い、人柄が見えてきて、それが面白いんです。江戸時代の家具でもセンスが感じられないものもありますし(笑)、昭和に入ってからつくられた家具でも、職人の顔がはっきりと浮かび上がってくるようなすごいものも。
仁平 透
例えば、一見すると西洋のアンティークに見えるような家具でも、装飾に日本の仏教文化の名残があったり、素材が日本の木だったりして、そこに職人の技術や工夫が垣間見えるんです。そんな風に高級な家具にも、安くつくられた家具にも、それぞれの美しさがあり、ディティールやクオリティの中にストーリーが垣間見えます。そのような古家具たちに自分たちの手で命を吹き込む。それが僕の仕事なんです。

今回は仁平さんが営む益子町の2つのお店と、そこに集まってくる家具たちの物語を語っていただきました。メーカーもブランドもない時代の家具一つひとつと向き合う視線、そこにある職人たちの想い……聞いているだけでさまざまな発見があります。後編ではさらに仁平さんのお仕事を掘り下げつつ、古家具の仕入れや修繕、ライフスタイルへの取り入れ方についてご紹介していきます。
●PROFILE:仁平 透(仁平古家具店・pejite)

栃木県芳賀郡益子町出身。東京で中古レコード販売などを経験した後、2009年、地元に戻り『仁平古家具店』を、さらに2014年には『pejite』をオープンさせる。アイテムの仕入れや見立てはもちろん、リペアの方向性の指示など、幅広い仕事を手がける。その独特のセレクトやリペア、リーズナブルな価格設定、お店の雰囲気などに惹かれ、県外からも多くのファンが訪れている。

 

SHOP WEB SITE:pejite / 仁平古家具店